顎顔面(顎と顔の骨)の成長について
2011年07月24日以前、歯列不正の原因について考えました。
今回はこれに関連する、顎顔面の成長について考えてみます。
我々の住む世界において、表面の問題は、その中に存在する本質的問題を解決しなければ、本当の解決が得られないという一般的原則が存在します。
この原則論に当てはめてみると、歯列不正は表面の事象であって、本質的には顎顔面の成長に問題があることが明らかになってきました。私の日常の診療でも感じることは、歯列不正の多くはやはり顎顔面の成長発育に問題があります。また、学校における歯科検診などでも感じることですが、顎が小さくほっそりとした子供が多く、やはり歯列不正が以前に比べて比率的に多くなった気がします。
もし、顎がしっかりと前方成長していれば歯列不正は起きません。例えば第1大臼歯は乳歯の後ろから生えてきます。乳歯が生えた後に顎が前方へ成長しないと第1大臼歯が生えてくるスペースがありません。そこで斜めに生えたり、向きをかえたり、外側や内側へはみ出します。場合によっては骨の中にもぐってしまい生えてきません。正常咬合を得るには頭蓋をを含めた顎顔面領域の前方成長が必須です。
それではどのようにすれば顎が正しく成長するのでしょうか。バイオブロック療法を考案したDr.J.Mewは以下のように指摘しています。
よ1. 口唇閉鎖(口を閉じる)すること
2. 上下の歯が軽く接触していること
3. 舌が口蓋(上顎の舌で触って平らな部分)に接触していること
これらの条件を満たすとき、顎は前方に成長すると述べています。
次にこれらを阻む要因について考えてみます。
アレルギー、喘息などの呼吸器疾患を持つ場合や扁桃肥大などを持つ方は、気道の狭窄が起こりやすく口呼吸になりやすいため口唇が閉じにくい状態になります。
また、舌が大きい場合も舌を上下の歯の間に介在させるため口が開くようになります。そして、上の顎の前歯を押すようになれば上顎前突(いわゆる出っ歯)になります。
これらの問題を解決する一つとしてバイオブロック療法が考案されました。
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